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「鹿島順一劇団」、川越・ホテル三光・小江戸座公演と「幕間閑話」

2008年2月8日(金) 晴
 午後1時から、川越・湯遊ランドホテル三光で大衆演劇観劇。「鹿島順一劇団」(座長・鹿島順一)、芝居の外題は、昼が「月の浜町河岸」、夜は「長ドス仁義」、いずれも大衆演劇の定番だが、この劇団が演じると、大衆演劇のレベルを遙かに超えてしまう。一般に「時代人情劇」などと呼ばれる芝居だが、まさにその「人情」が、役者の内面から「じわじわと」「滲み出てくる」ところに特長がある。それぞれの役者の個性が、「役どころ」(登場人物の性格)にぴったりはまり、舞台の随所随所で「蛍火」のように光り輝いている。夜の部の開演前、特別席の男性客(70歳代)三人が話している。「今日は、大入りはむずかしいね」「ウン」「大入りでないと役者さんもはりきらないだろう」「この前の劇団は32回も大入りを出したぜ」「なんせ、川越の客は目が肥えているから、半端な劇団じゃ無理だろう」「同じ芝居を2回は観ないもんなあ・・・」私は、この三人がどの程度「目が肥えているのか」興味津々であった。「長ドス仁義」の幕が開き、春日舞子、春大吉、登場、さらに、花道あきら、座長が登場して、三人の視線は舞台に釘付けになる。舞台は二景、蛇々丸、虎順、梅乃枝健、金太郎、赤胴誠(新人)も登場し、花道あきらとの「絡み」から目が離せない。いよいよ三景、蛇々丸と舞子の「絡み」、あきらの「愁嘆場」に涙する。そして終幕、見事、かわいい子分の仇を討ち終えた座長の「艶姿」に拍手の手を止めない。明るくなった客席で、一言、「よかったね」「ウン、うまい!」後は言葉がつながらなかった。「劇団」の実力は「集客能力」に比例しない。「いいものはいい」のである。
 私は、他の劇団が演じる、同じ外題(内容)の芝居を何度も観ている。しかし、どこかが違う。何かが違う。それは、「型に秘められた心情表現の鮮やかさ」とでも言えようか。「型どおり」の演技の中に、それを演じている役者の「個性」が見え隠れしているところが「違う」のだと思う。この劇団の役者は(新人も含めて)、自分の「個性」(長所・短所)を知っている。「分をわきまえた」演技、「相手の個性を生かそうとする」演技に徹しようとしている。それが、「のびのびとした」「個性的で」「自信に満ちた」芸風を培っているのではないか。「人情劇」といえば、藤山寛美、美里英二、大川龍昇など「型」を全面に押し出す演技が定法だが、それを「自然体」で超えようとしているところに「鹿島順一劇団」の素晴らしさがあるのだ、と私は思う。
 舞踊ショー、鹿島順一の至芸・「桂春団治」を観られたことは幸運であった。
<幕間閑話・1>
 海坊主のような風采の男性客(70歳)が、血相を変えて、桟敷席の従業員に問いかけて来た。「財布、落ちていなかったか!?」、従業員、あわてて「どこに、お座りでしたか?」男性客「そこだよ、そこ、そこ!」従業員、辺りの座布団をはねのけ、必死に探したが見つからない。「ありませんねえ・・・。他の者に聞いてみますから、少しお待ち下さい」男性客、しばらくその場に立ちつくしていたが、顔面蒼白、身体が小刻みに震わせて、どこかへ行ってしまった。見かねた周囲の客が、別の従業員に助言する。「早く、フロントに連絡した方がいいよ」「はい、今、行ったと思います」「バカ、あんたが行くんだよ!客の財布が無くなったんだ。責任があるとは思わんのか?」重苦しい雰囲気の中、「ここで無くなったんだから、みんなの持ち物を調べればいい」などという声も聞かれる。私も一瞬、不安になりロッカー室まで自分の持ち物を調べに行った。なるほど、「貴重品は必ずフロントにお預け下さい」という張紙がしてある。フロントに預けない限り、泣き寝入りする他はないということか。妙に納得した私は、自分の財布をたしかめ、再び桟敷席に戻ろうとすると、入り口で件の男性(海坊主)が、しきりに自分の外套(皮ジャン)を調べている。それを手に持って二、三度振ったとき、ポトリと黒い物が落ちた。「あった!あった!あった!・・・。やあ、皆さんすまねえ!あったよ、あった。あーあ、助かったあ・・・」その場の一同、「ああ、よかったねえ・・・。あったの?」これにて、一件落着。昼の部終演後、ほとんど客の居なくなった桟敷席で、件の男性(海坊主)、気持ちよさそうにカラオケ二曲披露して帰って行った。
<幕間閑話・2>
 夜の部開演10分前、私はロビーの椅子に座ってテレビを観ていた。そこへ、一人の老女がやって来た。「あのね。タイショウは何年?」私「・・・?、タイショウ?」老女「そう、タイショウ。タイショウは何年までだっけ?」私「ああ大正ね。大正は15年までです」老女「ふうん、あそうか15年までね。あたしは8年生まれなんだけど、今年であたしはいくつになんの?」とまどう私「え?・・・ちょっと待ってくださいよ。今計算しますから。えーと、大正15年が昭和元年だから、昭和元年は7歳・・・昭和は64年で70歳、平成は20年だから・・・ざっと90歳かな?、たぶん、はっきりしないけど90歳前後だと思いますよ」老女「え?何?」しどろもどろの私「だいたい90くらいだと思います」老女「何?、90・・・?」私「ええ、まあ、だいたい90じゃあないですか?」老女、一瞬びっくり、そして顔をほころばせながら「そーう、90なの?、そうか、90か・・・」感心したようにつぶやく。「あたし、もう90なんだ。はじめてわかったよ。ずいぶん永く生きたもんだ。この年になると数えることもできないや・・・。もうダメだね。じゃあ、もういつ逝ってもいいてことだ・・・」何かをやり終えたという満足げな表情、どこか浮き浮きとして、また何か話しかけようとした。そこへ、孫娘とおぼしき女性客「おばあちゃん、何話してるの?」老女、うるさいやつが来たという風情で、いたずらっぽく私に、めくばせする。孫娘「誰にでも話しかけるんだから、御迷惑よ・・・」そして、私に「どうも、すみません」と会釈した。恐縮する私「いえ、どういたしまして・・・」孫娘にコートを着せられ、もとの表情に戻った老女は、何事もなかったように帰路についていた。
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